台所太平記 谷崎潤一郎全集(その24)2017年04月22日

 数日前にNHKのニュースの中で、家事代行サービスの要員としてフィリピン人が日本で働いているのをやっていた。かつての日本の女中さんは、家に住み込んで奉公したのだが、それとは違って通いのパートタイムだ。
 日本の女中さんは遙か遠い過去のものだ。私が子供の頃、隣の家は主人が製粉工場の重役をしていて裕福で、女中さんを使っていた。私などの世代が「女中」の最後の目撃者といえる。
 谷崎潤一郎が雇っていた女中のことを書いた「台所太平記」は、今や「世界の記憶(世界記憶遺産)」であろう。「台所太平記」以前の「細雪」の中にも女中が描かれており、その仕事ぶり活躍ぶり、また、主人らが女中の勤務評価をする場面もあったりして当時の様子が分かる。
「谷崎万華鏡」にも「台所太平記」がマンガとして書かれている。
 書いたのは山口晃という画家で、これが他のマンガを圧倒するほどレベルが高い。
 20ページの中で「台所太平記」の全容を書いていることに驚いた。「台所太平記」を読んだ私がイメージしていた物語の登場人物がほぼ同じで、ビジュアル的に楽しめる表現になっている。山口晃のデッサン力がいいのだ。
 主人である千倉磊吉ちくららいきち(谷崎潤一郎)は何故かウサギの帽子をかぶっているのがおかしい。
 登場する女中たち、初(豊満)、梅(コケシ人形)、鈴(美人)、駒(花王石鹸顔)、銀(眼美人)の特徴がよく描かれている。性格が悪く傲慢な女中の百合(それだから谷崎が贔屓にした)、その盤台面ばんだいづらを見たかったが、百合のストーリーはマンガでは割愛されていたのは残念だった。
 実際の谷崎潤一郎、松子夫人と女中さんたちの写真→
 登場する人物の顔や姿だけではなく、描かれた背景、舞台がその当時の雰囲気で描かれ、見事というしかない。
「谷崎万華鏡」は700円で買ったものだが、山口晃の描くところの「台所太平記」だけで、元をとった感じだ。
「台所太平記」は谷崎潤一郎全集(没後版)の十九巻にあり、それを旧字旧仮名で入力作業を行い青空文庫に送ったが、入力者校正をろくにしなかったために品質がとてつもなく悪く、青空文庫のスタッフから注意を受け私は落ち込んだ。
「やり直し!」と突き返されることはなく、現在、校正待ちで工作員を募集している。入力間違いはたっぷりあるから、発見は容易で、やりがいのある校正作業ができ達成感を得られることを保証する。楽しみたい方はぜひ志願して頂きたい。→谷崎潤一郎 作業中作品一覧

 青空文庫に提出した「台所太平記」ファイルを、さらに自ら見直して校正しようという気はない代わりに、この際だからと新字新仮名版に換えてみた。旧字旧仮名→新字新仮名にするのは割りと簡単なのだ。
 以下が、その新字新仮名版の「台所太平記」です。入力間違いはかなり改善したものの、まだあるでしょう。それをご承知の上でお読みください。
  台所太平記(html版) → daidokoro_taiheiki.html
  台所太平記(テキスト版zip圧縮) → daidokoro_taiheiki.zip

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