奈良原一高 人間の土地2017年08月26日

「ヨーロッパ 静止した時間」と一緒に借りたのが同じ奈良原一高の「人間の土地」だ。これも私には初見の写真集だ。1950年代に撮った長崎の軍艦島(端島)と鹿児島の桜島(黒神村)の写真集。1956年にこの個展を開いて評判になり、奈良原一高のデビュー作といえる。
 県立図書館から借りたものは1987年の発行だ。福岡市立図書館にも蔵書があった。
 喜ばしいことに今年(2017年)の8月に復刊され、8,640円で発売されているからAmazonで買える。
 現在の、建物の近くに寄れないほどの廃墟ではない、1950年代の生きている軍艦島が撮られている。アートとしての写真としてではなく、資料としても貴重といえる。
 私は3年前、廃墟としての軍艦島へツアーで行ったが、奈良原一高の生きた写真(ストレートフォト)はいいものだ。再版された理由は写真を見れば分かるだろう。
 軍艦島の風呂場。真っ黒になって地下から戻り、最初は塩水の風呂、そして真水の風呂に入る。皆さん、楽しげだ。

 桜島の黒神村(今は黒神町)は1946年の桜島の噴火で埋没の被害を受けた。当時は舟でしか行き来ができなかった。黒神埋没鳥居は名所となっているが、それは1914年の噴火のときのものだ。
 被災地の村なのだが、皆さん、明るく生きている。子供の顔がいい。
「人間の土地」の再版は世の中から求められたものだろうからよかったが、「ヨーロッパ 静止した時間」、「スペイン・偉大なる午後」の再版はないだろう。